ネギま!ももう89話。単行本でいうとちょうど10巻分の掲載量になりました。クラスメイトの紹介も順調に進み、連載当初は無謀かとも思われた31人のヒロイン達も無事いいキャラに育ちつつあります。彼女らのクラス内での人間関係や物語内での役割もかなり明らかになってきました。
そこで今回は、3−Aキャラのクラス内での人間関係を振り返り、さらにそれが物語とどう関わっているのか考えてみたいと思います。
というわけでまずは、下の図をご覧下さい。
細い線での繋がりは、比較的仲のいい友達としてのつながり。太い線は中でも特にグループ行動を取ることの多いキャラのつながりを示しています。
■ 図を見ると、それぞれのグループ毎に物語内での立ち位置が割り振られているのがわかると思います。
(明日菜、木乃香、刹那)はメインの3人組と言って問題ないでしょう。しかも、3人ともネギとの仮契約者です。
(のどか、夕映、ハルナ)はメインキャラの友達としてのキャラと言えると思います。基本は別行動で、何かあるときに主に一緒に行動する準主役のキャラ達です。
(真名、古菲、楓、(刹那))はメインキャラの助っ人キャラとしました。普段はあまり関わりませんが、バトルが絡むと一気に目立つようになります。
(エヴァ、茶々丸、超、葉加瀬、五月)は、ネギ達とは独立に魔法の知識を得ており、また完全にメインキャラの思惑と独立した行動を取ることから、敵か味方か、と位置付けました。
(あやか、(小太郎)、千鶴、夏美)のグループは、あやかと小太郎の存在から、メインキャラのライバルということにしました。名前にちょっと無理があるかw ただ、小太郎が運動部仲良し4人組でも、チアでもなく、あやかのグループに転がり込んだのは(明日菜−あやか)(ネギ−小太郎)という関係を意図的に作り出してみたんじゃないかなと思ってみたり。
■ ここでおもしろいのは、朝倉の立ち位置です。
彼女は準主役級の重要キャラですが、どのグループにも所属していません。しかし、だからといって他のキャラと絡まないわけでなはく、積極的にいろいろなイベントに顔を突っ込んでいます。
中でも特に関わりが強いのが、「メイン」「友達」「ライバル」「敵か味方か」の4グループ。「メイン」と「敵か味方か」に対しては協力者として。「友達」と「ライバル」に対しては友達として関わっています。
この一見、ずるいコウモリとも、日和見主義的とも取れるような行動が朝倉の特徴でもあり、魅力ではないでしょうか。彼女は一応「ジャーナリスト」としてなのかどうなのか、誰かの側につくというのではなく、あくまでも彼女の興味と好奇心に従って自由に動いている印象を受けます。
「情報」を握る強力キャラだけれど、どこまで信用していいのかわからない。朝倉もおもしろいキャラに育ちました。
■ 次に、魔法バレの流れを考えてみたいとおもいます。
この流れは、大きく分けると3つに分類できます。一つは、「メイン」「友達」「助っ人」のネギを中心とする流れ。一つは「敵か味方か」の元々魔法に関わっている人達、そして最後に小太郎をきっかけに魔法の世界に近づきつつある「ライバル」。
このように、バレる流れを複数用意することによって、物語をうまく進めていると考えることができます。ネギま!は「魔法バレ」というストレスを上手に使って話を進めているのです。
例えば物語の最初では「明日菜さんにばれちゃった」というのがキーになり、次は既に魔法使いであるエヴァとの対決。次に楓という、バレたんだけれどそっとしておいてくれるキャラを用意し、次には元々魔法を知っている刹那が敵対キャラとして登場します。朝倉もこいつにだけはバレちゃいけないキャラとして登場。のどかはバレちゃったけど、ネギには知られていないキャラ。そしてその後、バトル展開で一気に真名、古菲、夕映、木乃香、にバレることになります。修学旅行後は、葉加瀬と超が既に魔法を知っているという伏線を用意し、麻帆良祭では超一味として大立ち回りを演じさせています。
■ こう考えると、次に魔法がバレそうなキャラが、その後の展開で重要な役割をになうと予想できるでしょう。
ここでもう一度図を見てください。ピンクの文字で書かれているバレる一歩手前キャラは、千鶴、夏美、風香、史伽。
千鶴と夏美はもともと小太郎がらみで半歩足を突っ込んでいますが、今回の武道会への応援参加によって、魔法の存在を知る可能性が一段と高くなりました。
風香、史伽は楓が連れ込んだことによります。今まで騒ぐことくらいしか能がなかったw双子を武道会に連れ込んだということは、魔法を知ることによって今後なんらかの重要な役回りを与えるという布石なのかもしれません。
■ ここで、さらにおもしろいのが、グループ内で1人は魔法を知らないキャラが用意されている、って点でしょうか。
「友達」キャラである図書館探検部のハルナ、「敵か味方か」超一味の五月、「ライバル」キャラのあやか、がそれに当たります。
これは、魔法をバラしてはいけないという雰囲気を上手に作るための、赤松氏の物語構成テクニックの一つであると考えられます。グループ内で魔法を共有していると「メイン」キャラ達のようにそれが当たり前の世界になってしまいます。もしそれが図書館探検部のような「友達」キャラや、同じ部屋を共有する「ライバル」に分類されたキャラ達の間でも起こると、作品の雰囲気が一気に、なんかもうクラス中にバレバレ、になってしまうのではないでしょうか。
そう考えると、五月は置いておいても、あやかとハルナが魔法を知る可能性、さらに言えば仮契約する可能性は極めて低いものと考えられます。哀れあやか。
■ 最後に、「一般人」キャラについて考えてみます。
ここで「一般人」に分類したのは(美砂、円、桜子)のチア、(裕奈、亜子、アキラ、まき絵)の運動部仲良し4人組、そして一匹狼の千雨です。
図を見ると、これら「一般人」キャラはきれいに人間関係上もストーリー上もメインから外されていることがわかると思います。
彼女達は、超人や人外なキャラがひしめきあう3−Aを現実に引き戻すという、「一般人」にしかできない重要な役目をになっていると考えられるのではないでしょうか?
そう考えると、彼女らが仮契約というのもまた絶望的な話です。
ありうる可能性を考えるとすれば、これまでのグループ内で1人だけ知らないという設定の逆の発想である、グループ内で1人だけ知っている、という状況でしょうか。
この設定だとすると、亜子とまき絵が有力候補に上がると思います。亜子はチアとも繋がりがあるので可能性は高いでしょう。逆にまき絵はあやかとコンビでおいしいところを持っていかれる役を果たしているので、あやかと同様最後まで報われないキャラで終わる可能性も大です。投票による成金キャラのなれの果てとしては、どんなもんなんでしょうかw
■ まとめ
3−Aを物語内での立ち位置からいくつかのグループに分けると、ネギを中心とする「メイン」「友達」「助っ人」キャラ。「敵か味方か」超一味とエヴァ。あやか、小太郎率いる「ライバル」。そして超人ひしめく3−Aを現実に連れ戻す「一般人」のように分類することができます。
これらに分類されなかった重要キャラである朝倉は、自由にグループ間を飛びまわることにより、「情報」を握る強力キャラだけれど、どこまで信用していいのかわからないという特殊な位置に立っています。
上の大きな3グループの大分類は、そのまま魔法がバレる流れにも直結しています。この流れというのは、「魔法バレ」というストレスを上手に使って話を進めているネギま!にとって重要な情報です。つまり、次に魔法がバレそうなキャラが、その後の展開で重要な役割をになうということです。
89話時点の展開で、次に魔法がバレそうなキャラは千鶴、夏美、風香、史伽。 彼女達には近い将来活躍の場が用意されているのでしょうか?
グループ内で1人は魔法を知らないキャラが用意されているというのもおもしろい点です。これは、魔法をバラしてはいけないという雰囲気を上手に作るための、赤松氏の物語構成テクニックではないでしょうか。
「一般人」キャラ達も、3−Aを現実に引き戻すという意味で重要です。彼女達には、グループ内で1人だけ魔法を知るという方向から仮契約の可能性が残されていると考えられますが、一体この幸せを勝ち取れるのは誰なのでしょうか。
このページの目次へ
|